微熱
放課後、いつになくそわそわしているあたしに、心が怪訝そうな顔をしていた。

「早苗、どうしたの?」

「今日から特訓するんだー」

「なんの?」

「チョコレートケーキ!」

「……誰と?」

「あっ、ユキ遅いよ!」

教室のドアのところにユキがきた。
あたしの言葉に「だから、お前が来いよ!」と怒ったように声を荒げる。
いつものことだから怖くない。


「ユキと作るの?」

「うん、そうだよ。教えてもらうんだー」

バイバイ!と言うと「…あんたって子は…」とかなんとかブツブツ呟いていた心は呆れたように「また明日ね」と返してくれた。
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