初恋+one
ピンッと背を伸ばして、
もう少しで手の届く参考書を狙う。
ん~・・・・・・
もう、ちょっっとなのにぃ
「柊? どした?」
本棚の隙間からひょこっと顔を出した貴大。
その貴大の顔を見た途端、
思いっきり背伸びをしたつま先を元に戻す。
「あ、貴大~。
これ! 本取れないぃぃぃ」
「どれ? あー、高いとこにあんのか」
これ!っと指差したままのあたしに、
どんどん近づいてくる貴大。
「これな?」
そう言って手を伸ばした貴大に、
ドキッと大きく胸が鳴った。
ココは図書室。
あの貴大と話した日から、
あたしもココで貴大と一緒に勉強してる。
1番壁側の本棚。
そこにあたしの狙う本はあった。
しかもその本は壁に近い場所にあった。
その本をとろうとした貴大は、
自然にあたしの隣に来る。
右手を伸ばした貴大と壁にはさまれるように立っているあたし。
そこからどいたらよかったんだろうけど、いまさら出来ない。
カラダとカラダが近すぎて、
上を向く貴大の胸があたしの顔の前にある。