初恋+one
「寒いっしょ? 着てていいよ」
いつのまにか目の前にいる貴大。
にっこり微笑んで、
あたしに自分の学ランを着せてくれた。
「えぇ、いいよ! そんなの貴大が寒いよ!」
「大丈夫だよ。
俺、下にもセーターとか着ちゃってるし」
急いで脱ごうとするあたしの手を、
ぐっと掴んで阻止する。
その手のぬくもりに、
顔が赤く染まるのが自分でもわかる。
「それに・・・・・・」
絡まる視線。
触れている手が、
あたしの心拍数を上げてく。
「女の子は身体冷しちゃだめでしょ」
「・・・・・・っ」
なれない女の子扱いに、
さらにドキドキが加速する。
すっとその場を離れた貴大。
あたしはと言うと、
いつまでたっても貴大から目を離せないでいる。