ジオラマの日常
カズにぃみたいになりたかった。
自分のすきなことを生き生きと語れるカズにぃみたいになりたかった。
当たり前の風景をキラキラした日常に撮れるカズにぃみたいに生きたかった。
「……カズにぃは、なんのために生きてるの?」
「なんのためって……」
答えを見つけられないカズにぃは、困った顔をした。
そしてあたしのことを、まるでおかしなモノでも見るような目で見つめる。
「あたしは、やりたくもないことを理由もない生活のために我慢してやって生きていく人間になりたくないよ。自分の才能だって、自分だけは信じていたいよ。こんなあたしをガキだってカズにぃは笑う?」
泣きたくてたまらなかったけれど、今のカズにぃの前では悔しいから泣きたくなかった。
「今のバイトだって勉強だって、カズにぃみたいな写真を撮るために頑張ってるんだよ」
カズにぃは、あたしをどう扱っていいかわからないと思っているのが顔にでていた。
昔なら、こんな顔絶対にしなかったのに。