音色
「本当に、親孝行な子ねえ」
「いえいえ…。そういえば、司沙ちゃんはどうするの?大学には行くのよねえ、やっぱり」
「ええ、そのほうがいいって私も言ってるわ。司沙はまだ迷ってるみたいだけど…」
「あら、就職?」
「いいえ、司沙ったら、歌手になりたいなんて言うのよ」
「あら、いいじゃない。夢があって!」
「だって、そんな不安定なこと…歌で食べてくなんて、そんな才能あるとは思えないのよ。本当、お宅の息子さんみたいに真面目に考えてくれたら…」
ガチャッと勢いよく扉を開けると、私は早足でお母さんたちの横を通り過ぎた。
「あら、司沙。いってらっしゃい」
「…いってきます」
ちゃんと、笑えただろうか。