Valentine Fake(Intron crack企画)
「克彦好きな子いるの?」


お前が好きだ……俺は言える筈のない言葉を飲み込み、黙って曖昧な笑みを浮かべた。


「ああ! また黙るう……小学校からの付き合いの裕美ちゃんに白状しなさい。何なら私が彼女になってあげるから」

「いまさらお前が?」

「じゃあなってあげない。仁科君のバカ」

裕美が俺を苗字で呼ぶ時は、大抵機嫌の悪い時だ。

「何怒ってるんだよ」



「……分かってない」

「何が」

いい加減、俺もうんざりしてくる。

回りくどい言い方は嫌いだ。
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