，こだわり

浩哉はそんなリカコを見て、あっという間にリカコが答えに詰まった理由を察したようだ。

缶コーヒーを飲みながら言った。

「希菜が通っている病院に俺も今、掛かっているんだ」

リカコは一瞬、目を見開いた。

私はリカコの表情とピアスの輝きを交互に見ていた。

「浩哉さん病気なの？」

「不眠症とパニック症候群らしいよ。希菜にあった日、医者からそう言われた」

「そうなの・・・じゃあ、希菜ちゃんとは病院で出会ったんだ」

「まあね。でも希菜は全然、俺と病院で会った事は覚えてないけど。
診察室の前で見かけた希菜を、病院の中庭で見つけて後を付けたんだ。
希菜が河原へ歩いて行く後を追って、道から外れて草むらに入って行こうとしたところに声を掛けたんだ」