ココアブラウン
JRの構内はたくさんの人であふれかえっていた。


あたしはタクシードライバーの言葉にいらついていた。



会社でのあたしでは想像もつかないくらい。


新幹線の切符売り場で路線図を見上げた。



京都、大阪、東京。

縦横無尽に張り巡らされたその路線図。

無遠慮に心の中に触手を伸ばす、さっきのタクシードライバーのような気がして出しかけた財布をしまった。



今日だけは人の意見なんて聞かないで自分だけが欲する場所に行きたい。



ー京都の紅葉なんてー











・・・絶対にイヤだ。


ふと横を見ると一枚のポスターが目に留まった。

とたんに決心した。


在来線の窓口であたしは行き先を告げた。
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