愛して欲しいなんて言わない(番外編)
パーティ
学校が終わるなり
俺は迎えの車に乗って
パーティ会場に向かった

開始は5時からだが
いろいろと打ち合わせがあるらしい

俺が到着したのが4時前

急いでスーツに着替えると
髪を整えて
父親の横に立った

俺は何もしない

ただ父親の横に立ち
パーティの段取りを聴いているふりを
すればいい

何かをしているように
見せていれば
父親が満足する

「隼夜、今日は
クレア嬢が来る」

「は?」

「だからイギリスの貴族のクレア嬢だ
イギリスにある支社と提携して……」

「ガバルドン伯爵のご令嬢?」

「そうだ
ちゃんと知ってるじゃないか」

名前だけね

俺はホテルの個室の窓から
見える外を眺めた

どんよりした雲が
重そうに流れていた

「まだ正式ではないが
お前とクレア嬢をだな…」

俺は窓から視線を動かすと
父親の顔を見た

言いたいことはわかった
予想できる

父親が考えることなど
頭をひねらなくても
想像できる

「御断りします」

「何?」

「婚約させたいとか
そいうことでしょ?」

「ま、そうだが」

「俺、興味ないから
会社経営に
継ぐつもりはない

だから他の人を探してよ
愛人の子とか
いるでしょ?」

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