ヒサイチ

「えっ?そうだっけか?」

「だって、寿一君、自分だけアドレス聞いておいて、私に教えてくれないんだもん」

「ああ、そっか、そっか。そりゃあ悪かったな。すぐ送るよ」


電話の向こうは少し照れたような笑い声。


私が想像したような意図があって教えてくれなかったわけでないのはすぐに分かった。


「じゃあ、また後でな」

「うん。6時半に南口の改札ね」


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