ヒサイチ

本当の愛なんて文也と私の間にはなかった。


だからあんなにもあっさりと彼は私の元から去ることが出来たのだ。


それは新しいきらきらするような出会いに目が眩んだからではなく、ただ単に私に対する思いがなかったからなのだ。


そして私もまた文也への思いなど幻想で、現実にはなかったのだ。


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