ヒサイチ

私が答えに躊躇していると、ヒサイチは右の口角を少し吊り上げてから

「男に振られたな」

と言った。


『ドクッ』

ヒサイチのその図星の台詞に私の心臓は急に高鳴った。


こめかみから上が熱くなる。


きっと今、私はすごい顔をしているだろう。


引き攣った真っ赤な顔

・・・分かっているけど誤魔化すことすらできない。


愛想笑い一つすればいいことが、今の私にはオリンピックに出場するくらい難しい。
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