ヒサイチ
あまりの唐突な質問に、私は少し躊躇ってしまい、随分間が空いてから答えた。
どうもヒサイチとは会話のペースが合わない。
ヒサイチが一方的に話してくれている時はいいのだが・・・
「普通な感じの人だよ。小さいけどIT関連の会社に勤めている。どっちかって言うとオタクっぽいかな。寿一君と逆なタイプ」
「普通か。そりゃ、やっかいだな」
ヒサイチは呟くように言った。
『厄介』?私はヒサイチの言葉の意味が分からなかったが、聞き返すこともせずに、どこに向っているのか分からないヒサイチの後を付いて歩いた。