もう一つの【ゴル裏】〜いつかの公園のベンチで〜

しぃちゃんがゆっくりと顔を上げた。

(´・ω・`)
「ごめんなさい・・今日の事すっかり忘れてました・・」

しぃちゃんは僕の言葉を無視するともう一本線香花火に火を点けた。

パチパチと線香花火が火の針を飛ばす。

しぃちゃんはその線香花火を僕に差し出してきた。



(*^^)
「おめでとう、J1昇格だよ」

(´・ω・`)
「しぃちゃん・・・」

(*^^)
「ほら、早く持って」

僕が線香花火を受け取ると、しぃちゃんはもう一本線香花火を持ち、僕の線香花火に近づけてきた。

しぃちゃんの線香花火に火が移る。

しばらく無言のまま花火が散るのを見ていた。

しぃちゃんは僕の線香花火に自分の火の球をくっつける。二つの球が一つになった。パチパチッ、パチパチッと弾け、そして落ちていった。

二人の間に冷たい風が吹き抜けた。




(´・ω・`)
「しぃちゃん・・あの・・」

(*^^)
「今まで何してたの?電話いっぱいしたよ?」

(´・ω・`)
「ごめんなさい。携帯会社に忘れてしまってました」

僕は言い訳になるけどと前置きをして、今日の事を全て話した。



(*^^)
「もー、何かの嫌がらせかと思った・・いくら待ってても帰って来ないし」

(´・ω・`)
「ごめんなさい・・」

(*^^)
「でも良く約束の事覚えてたね」


偶然だなんて言えるはずは無かった。


(´・ω・`)
「寒くなりましたね。部屋に帰りましょう」

(*^^)
「うん。あ、ねえ。アレ持って来た?」

< 105 / 119 >

この作品をシェア

pagetop