いじめ
クラスのみんな
「本当…ごめん…。」


力が抜けたようにへなへなと
その場に座り込んだのは
千恵美ちゃんだった。


ふわふわの髪が気のせいか
しなだれて見えた。


私のいる位置から見える
千恵美ちゃんのまつ毛は
しっとりと濡れていた。


「…何で?」


私が何も言えないでいると
彩ちゃんがそう言って
床にいる千恵美ちゃんのそばに行った。


「何で、止めなかったの?
 いじめに加わってなくたって
 それ、いじめ。」


「…え?」


「何で、何で?
 美羽やあたしって
 大事な存在じゃなかったの?」


千恵美ちゃんは顔を上げた。
白い頬が涙で輝く。


「少なくとも、あたしにとっては
 千恵美たち、大切な存在だったのに。」


彼女は大切なという所に力を
込めてそう言った。


「…ごめん…勇気なかった…。
 だけど、今は…っあたし…。」


あぁ、泣いてるんだなって
しみじみと思った。


友達が泣いている所を
見ると、気まずい感じが前から
してたけど、
今はとても嬉しい。
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