秘密にし・て・ね(前編)


午後は担当役員の時間割を作ってスケジュールを組んだ。


これにもだんだん慣れてきた。


秘書って専門職だから結構オールマイティな知識が要求されててその都度臨機応変にうまく対応できるかどうかで秘書の能力が決まるんだよね。


私はまだ一年目だからまだまだ下っ端で失敗ばかりだけどいつかバリバリ仕事をこなす秘書になりたいと思ってるんだよね。


一通り片付けて更衣室を出たのは7時半、ロビーの受付嬢に軽く会釈をして玄関を出たとき朝は降っていなかった雨がシトシトと降っていた。



「あっちゃ~今日傘忘れちゃったな~どうしよう・・・。天気予報見てなかったわ」



駅まで歩くと10分で着く距離なのでタクシーを拾う距離ではない。かといって早足で歩いたとしても結構濡れてしまうと思う。



どうしよう・・・・・佳奈は仕方がなく観念して駅まで走るか!と思い足を踏み出したとたん誰かが腕を引いた。



「まって、濡れるだろ・・・・」



佳奈は声でその主が分かった。






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