あかねいろ


『ねー?、キス…なんでするの?』


夕陽も横に倒れてから大斗に聞いた。


『なんとなく…』


はぁぁ~ぁ??夕陽は眉をしかめて大斗を見る。


『お前が泣くから、気付いたらしてた…わりぃっ』

悪びれなく大斗は答える。


全く…調子狂う。

気にするだけ無駄みたい…


パンッと夕陽は立ち上がる。



『「わりぃ」ってねぇ?さっすが手が早い大斗君だわ。そうやって、"ついしたくなった"みたいにみんなにするんでしょ?!コワイコワイ!!』

『しねぇよバーカ。』

「はいはい」と言いながら夕陽は背を向ける。


そして沈みかける陽をみながら静かに言った。


『ひろとー…?帰ろう?学校…。拓ちゃんに会う…』


大斗もパンッと立ち上がった。


『これ、貸してやる。呼んでってやるから、そこで待ってろよ』

夕陽が振り返ると同時に大斗は何かを投げる。

チャリンと両手で掴んだ。


『俺の秘密の鍵♪』


あっ…


それは屋上の鍵だった。



帰り道はゆっくりと風を感じていった。

太陽が傾いてきて、夕焼けがかった遠くの空と平行して走って行った。



学校に着いた時は橙色が空を塗っていた。


夕陽は屋上の鍵を開ける。

扉の隙間から漏れる光を受けて自分の身体が茜色に染まる…。


―――――――――


ガラッ!!


『小田切せんせーいますかー??』

大斗は勢いよく職員室のドアを開けた。

『はい…?』


――――――――――


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