あかねいろ

夕陽は、また涙がでてくる…

『ゴメン…また泣かせた…お前泣きすぎ…俺が…悪いんだな…』


違う…違うの大斗…


『違う…』


そうじゃない…


『ありがとう…』


ねぇ…?大斗…


『だったら、あたしは大斗に救われた…』


いつもそうじゃない?

話を聞いてくれる。

誰にも言えなかった事を引き出してくれる…。


『お前は、バカだな。』

大斗はふっと笑った。

それから2人ともしばらく黙っていた。



日差しが和らいできた頃…

大斗が口を開いた。


『お前は、アイツと…小田切と、ちゃんと話した方がいい。これから学校で毎日会うんだ。現実を受け止めろ。再会したんだ』


再会…そうだ…


『拓ちゃんの母校…あたし、拓ちゃんが先生になるのも教育実習も考えてなかったけど、拓ちゃんの母校だからこの高校にしたんだ。』

『なぁ?偶然は必然だ。お前はいつも気持ちが身体から出まくってるのに、あまり言葉にしない。言いたいこと言わないからいつまでたっても進めないんだ』

大斗はパタンと後ろに倒れた。

『なんつーか、話してみろよ。あの頃から月日は経ってんだ。きっと何か違うよ』


見上げた空には、飛行機雲が伸びていた。



『なぁ?お前が落とした財布…もしかして小田切からもらったりした?』


大斗と出会った時に彼が拾ってくれた財布のことだよね…?。


『なんで?わかるの?!』

『なんとなく…』

大斗の答えにクスクス夕陽は笑った。

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