あかねいろ

文化祭

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『俺はロングで切れてるのがいい。』

今届いたばかりのダンボール箱をのぞきこみ大斗は言う。

『スリットって言いなよ??』

「はあぁ~」と夕陽が呆れて言う。

ダンボール箱を開けた内側の蓋には

[みんなのカワイイ姿を楽しみにしてるねー♪好きにつかってくださいませ♪咲ちゃんより]

と可愛い字で書いてある。


箱の中身はチャイナ服。


『箱に書いちゃうところが咲さんっぽい』
 
「店に沢山あるよ♪」と文化祭で使うチャイナ服をみんなは咲が働くキャバクラから借りたのだった。


『おい、ちょっと夕陽、これ着ろ!!』

大斗は1枚のチャイナ服を取り出すと夕陽に渡す。

ロングのスリットがしっかり入った一着だった。

『進藤さんはこっちで、佐々原さんはこれね♪』

大斗はニコニコしながら自分の物のようにドレスを女の子達に渡していく。

『なんで大斗が選ぶのよ?あたしはミニがいいの!!』

『バーカ。お前はただでさえ色気がないんだ。ミニじゃねぇよ。着ても可愛くねぇよ』

『大斗に指図されるのが嫌っ!!』

『アホ。俺のモノは俺のモノ。誰のモノも俺のモノだ!!』


出た!!こいつッ…!!


『いーんじゃないの?ひぃちゃん長い方が似合うよ♪』


横から口を挟む声…?


『『恭次!!』くん?!』

南深と夕陽が同時に声をあげた。

『大斗が呼ぶから見に来ちゃった♪』


全く…この人達って…


『恭次~♪進藤さんにこれ着せてもいい?』

と白地のミニのドレスを広げる。

『おぉ!いいねぇ♪でも文化祭で着なくていいよ。南深ちゃん♪これ持って帰って家で着て♪』

とにこやかに南深に言う。

『きょうちゃん♪そのプレイ俺も混ぜて♪』

大斗が楽しそうに続けるが…

『絶対嫌だ。』

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