あかねいろ

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―――――――

あの海は…

空港から意外に近かった…

やっぱり風が気持ちくて、時間を忘れてしまっていたからかもしれない…


道路にバイクを停めると、大斗は夕陽を抱えあげる。


『わぁっ!!』

『お姫さま抱っこ♪』


夕陽を抱き上げながら「恥ずかしッ」ブーッと吹き出す大斗は、そのまま森を抜けた。


ザザーン ザザーン


オレンジが溶けた冬の空と海…


浜辺に着くと大斗は夕陽を降ろして、2人はパタンと寝っ転がった。



気持ち良い…


『ひろとー?!見て!!』


指さす空の先には一筋の飛行機雲…

空の橙を抜けてく、まっすぐな道…


『咲さんの飛行機、だね…』


大斗は何も言わなかった。

ただ…空を見上げていた…




ザザーン ザザーン…。。。




『俺…咲のこと…』

『うん…なにぃ〜?』

『何だろ?』

『あんた、まだそんな事言うわけ?』

『あー…?』

『もぅ?!大斗は咲さんが好きなんだよ…』



ザザーン… ザザーン…



響くのは波の音…

それだけ…







『ちょっと?!なんか言ったら?!』


『うーん…』




シーン…




『―…だっ…た…?』


少しだけ顔を赤くして…

ポツリと大斗は一言。



ふっ…


夕陽は思わず笑ってしまった。

『何ソレ?』

『何だろ?』



"咲が好き…「だった」"


過去形…?

疑問系だし…



『強がり…だ?』


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