あかねいろ

『そもそも、エロ本渡す神崎君がいけないんじゃん。ボケはどっちよ?!』


言い合う2人。

夕陽は自分が悪いのだがムカついてきてしまった。


『もう知らない!早く席どいてよね?!』

大斗を無理矢理席から立たしそこに座った。


『覚えてろよ』

大斗は足を摩りながら言っていたが夕陽はそれを無視。


2人は話すとわりといつもこんな感じだった。


結局、すでに全部ノートを写し終えていたらしく、授業中スラスラ答える大斗。

彼は要領がいい。


ちょっと羨ましい…



――――――


―お弁当の時間。

夕陽は自分でお弁当を作っている。

家に親が居ない時が多かった為、昔からよく自分でやってたので、料理は自然と覚えていった。

夕陽は料理をする事が好きだった。


キッチンに立って夢中で好きなもの作ってると色んな事を考えずに済んだから…。


たけど…

手を洗って来て鞄を開けると…お弁当箱が、ない…?


おーぃ…?

今日はちゃんと入れたはず。

財布みたいに落とすわけないし…

あれ?


『みなみー英語の教科書かして♪』

そこに恭次が南深を呼んでいた。

『そんなの彼女に借りなよ…』

ブツブツ言いながらも教科書を持っていく


『先生違うからあっちも次えーごなの』

「はいはい」と言いながらも手渡してあげる。


夕陽が最近思うことは…


多分…南深は恭次君の事…


『あー!!ひーちゃん久しぶり♪さっき、大斗がひーちゃんの弁当持ってどっか行ってたよー』


2人を眺めていた夕陽だったが恭次の呼び掛けにハッとなった。


はい??なんで…?


『きっと上よね?』


嫌な顔をして夕陽はそう言うと教室を出ていった。


神崎君は、多分…屋上に居る…。


今日みたいに天気が良い日はあたしだったら絶対に屋上に行くから…


案の定、屋上の扉は鍵がかかっていなかった。


『やっぱり、ここにいた』


< 28 / 469 >

この作品をシェア

pagetop