あかねいろ

茜色


―――――――


「大斗は、ちゃんと向き合わないといけないな」


真夏の風…

ユラユラ煙草の煙。


「向き合う…夕陽に…?」

「バカッ!!違うだろ?」


大きな声に驚きながら何事かと、おっさんを見る。


「は?じゃぁ何だそれ?」


「大斗が向き合うのは―…」



ぽん。




そう言って優しい瞳、優しい顔をして

俺の頭を軽く叩いて微笑んでいた…


変なおっさん。。。



でも…何となく


わかった


俺が向き合うのは…



夕陽じゃなくて…



向き合うのは…





俺自身…







「あっ!!イケメン?!」

バイクに乗るのを呼び止められて振り向く、

「夏中は、ここに居るから、また来い!!」


そう言って、やっぱりおっさんはガハハーッと笑っていたな…

顔いっぱいに…


やっぱちょっと変な人だよな?!


「わかった!!おやじ!!」


フッ


“おやじ”…だって…笑っちまう…




ザザーン

ザザーン ザザーン


太陽が眩しい…

沈みそうなのに…

こんなに眩しいなんて…



今日は…変な朝だった。

いや…昨日の夜からか。


出会いっていいな


人って…

人と関わるのも悪くない。


狭くて…果てしなく広い…

この空間…



ザザーン ザザーン…


咲にも誰にも教えた事なかったこの場所を…

夕陽には簡単に教えてしまった。

初めて会ったあの春の日に…

俺に嫌な顔したからじゃなくて…

俺がお前に構うのは、きっと…


その時から夕陽は俺の中にすんなり入って来ていたんだ。



本当は初めて会ったのは、14の夏…

もしかしたら…その時から…


咲の事も確かに好きだったけど…

咲が特別なのは、きっとずっと変わんない。


だけど…

お前を想う気持ちと違う…と、思うんだ。

おかしくなったみたいに、頭ん中…

夕陽でいっぱい…


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