改訂・女子高生とおじ様の恋

その日私は休暇をとって久々の休日をのんびりと過ごしていた。

ベランダからほんの少し秋色の太平山が夕日に照らされていた。

部屋に戻り熱いコーヒーを煎れた。

思えば東京で一人暮らしを始め頃、生まれて初めて寂しさというものを味わった。

そしてそこから長い長い一人暮らし。そして結婚。都落ちしてからの親の死と離婚。幼い子供との二人暮らし。恋愛、別れ。

その中でいろんな寂しさを体験してきたように思う。

しかしこの時の私は言いしれぬ寂しさというか、歯がゆさというか、体験したことのない感情に捕らわれていた。それが何なのかは、その時の私には理解できなかった。

寂しさにはいろんな寂しさがある。

ぽつんと一人の寂しさ。大事な人を失った寂しさ。失ってはいないが大事な人がそばにいない寂しさ。

そして、そして・・・何か重要なもの。

悲しみの伴わない寂しさがあるような気がしてならなかった。
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