魔王さま100分の1
魔王さまは、畑の端から端まで行き来して好みのスイカを探し始める。

「魔王さまー、魔王さまは物を冷やすことはできますかー?」

「できるぞー。暑いなら、おまえを抱っこしてやろうかー?」

「採ったスイカを抱っこしてくださーい、それで冷やせまーす」

「おお、おまえ賢いなー」

お気楽なやりとり。

そうえいば物置におおきなたらいがあったな。
あれに水をいれて、魔王さまが入れるようにしてやったら喜ぶだろう。

ああ、でも、たらいは物置の奥のほうにあった気が。
明日の最重点掃除場所は物置だな。

シルキスの中で明日の予定も決まる。

「これだー、これにするぞー」

スイカを選んだ魔王さまが、大声でシルキスを呼んでいる。

魔王さまが領地で始めてまともに迎える夏。
楽しいことは、まだまだ用意できそうだ。



──魔王さまと夏 終わり

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