魔王さま100分の1
「なかなか交渉の糸口が見つかりませんね」
「これで交渉しているつもりか?」
「利害の一致を見せれば、魔王さまも気が緩むかと思いまして」
「ふんっ、とにかくおろせ。地面にではないぞ」
「はい」
魔王さまは、お姫様抱きに戻る。
このあほうがと言いながら、やはり胸にもたれた。
「塔の中に戻りますか?」
「いや、このまま中に入ったらおまえに何をされるか分からん。しばらく外だ」
「ずいぶんと信用を失くしてしまいました」
「少し失くすぐらいでちょうどいい。さもないと、」
「と?」