だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
15.ちゃんと学校にだって行けるんだから
◇都side◇

「都ちゃん☆」

朝。
わたしが靴をはこうと玄関に座ったときに、背中からパパの猫なで声が聞こえてきた。

「何?
お話は帰ってからでいいでしょう?」

また、あれよ。
熊さんがライオンに食べられた話なんだわ。
あれ、食べられなかったんだっけ?

夜伽話の記憶は、思った以上に曖昧でわたしは思わず苦笑を浮かべる。

「それとも、もう、お仕事に戻っちゃうの?」

靴を履いて振り向いたら、そこに、予想以上の<パパ>が立っていたのでわたしは目を丸くした。
その姿は、新橋あたりを足早に歩いていそうで、そう、一言で言うならまるでサラリーマン。

真新しいダークスーツに、変なラメなんて入ってないし。
いつもは長たらしく垂れている髪も、綺麗にワックスで固めていた。

髪型のせいだけではなく、その落ち着いた物腰のせいかいつもよりも老けて見える。
っていうか!友達のパパと同い年くらいに見えるのっ。

すごい、これって奇跡だわ。

「……パパ?」

奇妙なものを見たかのように目を見開いたまま声を失っているわたしに、パパはくすりと笑いかける。

「惚れ直しちゃった?」

……元々わたしはパパに惚れているっていう設定なのね?

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