だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
昇降口を出たとき、驚いた。
来客用の駐車スペースに、黒光りしたセンチュリーが止まっていたから。

「八色?」

足を止めたわたしを、不思議そうな顔で谷田陸が見る。

「ごめん、わたし忘れ物思い出しちゃった」

くるりと踵を返すわたしのランドセルを、谷田が掴む。
ちょおっと!
転んだらどうしてくれるのよ。

「俺も付き合うよ」

「え?
いいわよ、そんなのっ」

ほら、また皆が見てるじゃない。
勘弁してよ、もう。

「どうせ、行くんだろう?
昨日の子達を探しにさ」

……ゲッ。ばれてる。

裏門に回る足をそのままに、わたしは唇を噛む。
谷田もまるで当然のようにわたしについて歩いていた。

「そうよ。
わたしは探しに行くわ。でも、谷田を巻き込むわけにはいかないわよ。
あなたには大事なお母様がいらっしゃるんだから」

「なんだよ、あんな暴力女」

わたしは足を止めて谷田を睨む。

「そういうこと言っちゃ駄目よ。
お母様は不安だったに違いないんだから。
その気持ちが抑えられなくて手が出たの!
我侭やった子供だったらそのくらい受け入れてあげれば?」
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