だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
言葉の内容はほとんどパパの受け売りだったけど。
思わず激しい口調になったのは、谷田陸のことが羨ましかったから。

パパには言えないけれど。
やっぱり、家にママが居るって言うのは幸せなんじゃないかなって。

ついつい思ってしまうの。
わたしが子供で、我侭だからだよね。

分かってるわよ。
だから、胸の中にしまっておくの。

「そう上手く行くわけねぇだろ。
道徳の時間に見せ付けられるような理想的な家庭で誰も彼もが生きてるわけじゃない」

谷田がつまらなそうに言い捨てた。

そ、そんなのわたしの方が百倍知ってるわよっ。
あんな冗談みたいな家で育っているのよ、わたし。

でも、不幸自慢なんかして勝ちでもしたら余計に惨めだと思って。

「そうだよね、ごめん」

優等生的台詞でこの話題にはピリオドを打つことにした。

気まずい空気を携えたまま、街の方へと歩いていく。
昨日の公園をのぞいてみたけれど、二人の姿はなかった。

路地裏を無目的に歩くことも躊躇われて、なんとなく大通りあたりをうろついていた。

それでも、二人に出会うことなんて出来なくて。
一時間無言で過ごしたわたしたちは、諦めてそれぞれの家に帰ることにした。
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