新しい扉―長い長い片思いの結末―
目をそらした矢沢さんは、一点を見つめたまま唇を噛み締めた。
先生はまだ来ていない。
ほっとした。
矢沢さんと一緒にいる所をいきなり見ちゃうのは辛いから。
「おう!久しぶり!」
登場した新垣和人先生は、2年のブランクのせいで余計に私をドキドキさせた。
ブラウンのセーターにGパン。
昔と変わらない髪形と、昔と変わらない声。
そして、変わらない優しい笑顔。
先生会いたかった。
ずっとずっと先生のこと、好きだった。
何度も諦めようとした。
新しい恋に無理して踏み出した。
でも、だめだった。
先生が好きだった。
好きだった。
本当に好きだった。
そろそろ時間だよ・・・
もう充分頑張ったよ。
もう先生を諦める時間だよ。