天使の林檎
★第一章
 今朝の目覚めは良かった。
 すっきりとした気分で目が覚めると、今日はいいことが起きそうな気がする。
 もちろん、実際はあんまり変わらないんだけどね。

 でも、今日は新学期の初日。
 また新しい環境からのスタートだ。
 洗面所の鏡の前で、チェックをする。

 髪OK。
 リボンOK。
 ブレザーにはほこり無し。

 化粧は、してるかわからないくらいのナチュラルメイク。

 肌の色が白くてファンデーションの色が合わないし、なんか顔がカビカビするようであんまり化粧は好きじゃない。
 睫毛だけは短いのが気になるので、そこだけは丹念にマスカラで誤魔化す。

 髪は、真っ直ぐでサラサラのストレートヘアー。
 背中の中ほどまで長く、いわゆる天使の輪があるぐらい。
 体の中で唯一自慢出来るのがこの髪だ。

 鏡の向こうで私を見つめる私の容姿は、ごく普通。
 一言で言えば、平凡?

 奥二重の瞳は、パッチリとした目からは程遠いし、ちょこんと顔の真ん中で主張している鼻は低く、ちんまりと存在をアピールしている。
 唇はぷっくりしているが、ちょっと大きめ。
 ほっぺは手で摘むとタコヤキが出来そう。

 全体的にバランスは悪くないから、ブスとか言われたことはない。
 当然、美人とも可愛いとも言われたことはないけど・・・。

 ダイエットしても全然痩せることがない体系は、華奢とかスレンダーと言う言葉からは無関係。
 ぶっちゃけ、自分で見ても普通。

 そんな私にも彼氏がいる。

 高野 智。
 身長がすごく高くて、やせ気味体系。
 大きな瞳と短くカットされた髪型が印象的。
 テニス部に所属していて、まさにスポーツ少年って感じ。
 性格は明るくて、社交的。

 智は1年の時同じクラスメートだった子で、3学期に入ってすぐに告白されて付き合うことになった。

 異性から初めての告白だった。

 特別好きって思っていたわけじゃないけど、グループ研究で同じグループになってから良く話すようになって、すごく仲良くなったんだけど、告白された時、智ならいいかなって思ったからOKしたのだ。

 断わる理由もなかったからって理由もあったけど・・・。

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