†赤髪の冒険者ジーク†~西国魔都魔道騎士団編~
「ほう。馬か…騎士団の連中も間抜けではないと言うことか。面白くなってきたな。さて、まずは何処へゆこうか。」

ファレルはつむじ風の中で、馬を駆るジークの姿を眼下に見下ろしニンマリと笑った。そして、暫く宙を見つめると何やら思いを巡らしていた。
彼の無造作に巻かれた包帯の下で邪眼がザワザワと蠢いた。


「…そうだな、あそこへゆこう。あそこへ行けばもしかしたら奴も…。」

ファレルはそう言いかけて、慌てて唇に指を当てた。
彼は、クシャリと顔を歪めた。
その表情は、まるで今にも泣き出しそうな子供の様であった。
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