透明図
藤橋ユウヤの心の設計図は私にとって思いもかけないものだった。

それは細く暗い鎖によって、何重にも何重にもまかれていた。

細い鎖は、互いにギシギシと傷つけ合うように、お互いにめり込んでいて、痛々しく見えた。

その鎖は、もう何年も藤橋ユウヤの心の設計図に巻かれていたのだろう。その鎖の所々が、赤茶けて錆びていて悲しかった。

あまりにも無数の鎖に阻まれて、その心の設計図の本当の色合いを見ることは出来なかったが、遠くから見えるそれは真っ黒だった。
それは暗く闇に沈み、私の視界を遮り、彼の奥の本当の心をみることはできなかった。

何よりも、平凡と幸せに囲まれてこれまでを過ごして来た私に、これ以上その暗く重い藤橋ユウヤの心を知る勇気は無かった。
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