透明図
赤く燃える
サキの髪が風にたなびき、さらさらと流れた。

私は、サキからほのかに薫るもので体中を一杯にしながら、サキの髪がそよぐのを見送った。

サキが微笑むと、私は自分の顔が少し上気するのを感じた。

私は、それを悟られないように言葉をさがした。

「サキ、今日もキレイな髪だね、うらやましいなー」

いつも通りのありきたりの台詞にもサキは喜んで答えてくれる。

「ありがとぅ〜、結構大変なんだよ、これ」

始まりは、いつものような幸福な一日の始まりだった。

昨日のように雲が広がることもなく、空は穏やかに広がっていた。

その日、ようやく私は藤橋ユウヤと二人になることができた。
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