透明図
でも、なんでだろうか。ずっと不思議なのだけれど、私の設計図だけは他の人とは違っていた。

他の人のと同じように、確かにそれが存在することを感じているのだけど、違う。

私の設計図だけがなぜか、なんの色も持たず、なんの匂いも発っしない。

私の設計図だけがなぜか、息を潜めるように虚空に沈黙している。

私のそれはただ透明に澄み渡り、微かな微熱ばかりを発っしている。

それはまるで、私ばかりが何も持たずに生まれ、何にもならずに生きてゆかなければならないと、誰かに強調されてるようだった。


私は、その悲しげな設計図を、透明な設計図、「透明図」と名付けた。
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