生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


「えっ?!どどどうしたの?!」

「……ミドリ、アイツから手紙が来たの」

「アイツって……、佐野泰明……?」

「そうよ……。とりあえず、生徒会室…」

 不安げに私を見上げるミドリに笑いかけ、生徒会室に向かう。

 生徒会室はさほど遠くもなく、すぐに着いた。

「……ちぃ」

「大丈夫よ。心配しないで?それより、ミドリは?ミドリに手紙はきてない?」

「きてないけど……。佐野くんのこと、タツキさんは知ってるの?」

「知ってるわけないわ……。だって、タツキが許婚と知る前だったから」

「そうだよね……」

 生徒会室に入ってすぐに窓を開け、外を眺めた。

 春が近いのを感じさせるような柔らかい日射しに、まだ冬を引きずる冷たい風。

「手紙にね。[やっと、君のもとへ帰ることが出来る。君も、僕と同じ気持ちだろ?春に迎えに行くからね]って書いてあったのよ」

「迎えにって……っ!」

「一緒に届いた花束は、赤いチューリップ。花言葉は……永遠の愛」

「でも毎年届いてたんだよね?」

「えぇ。でも、手紙なんてなかったし、捨てないように念を押すために葛城さんにも手紙がきてたのよ……」

 そう、よ。

 花束なんて予想はしてたの。

 ただ、贈られてくると恐怖と痛みを思い出して、吐き気がするだけ。

 でも、今回は違った。


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