生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


「あっ……、ごめん」

 邪魔しちゃった、と少し焦っている雄太郎が踵を返した時。

「待て」

 タクの怒りを含めたテノールの声が、その場の空気を張り詰めた。

 そんな緊張の中、タクの腕の中にいるミドリは、……泣いている?

 かすかに上下するミドリの小さな肩から、小さく嗚咽が聞こえてくる。

「ミドリ?……タク、何があっ――!?」

 心配になり二人に近寄って、ミドリの肩に触れようとした私の目に入ってきたモノ。

「何よ、これ……っ」

「千紗?どうした――えっ」

 玄関の床に散らばった大量の赤いチューリップに、同じく大量の写真。

 チューリップは頭の部分だけのため、床は真っ赤。

 一枚の写真を拾い、よく見てみると、そこにはミドリの家が写っていた。

「………っ!」

 散らばっている写真のどれもがミドリの家やその周辺、そして、ミドリ自身も。

 大量の写真の傍らに、白い封筒。

 おそるおそるその封筒を手にとって、封を開け、中身を取り出し読み上げた。


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