生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


 ふぅっと首を回し、リビングに戻る途中、千紗の勉強部屋に入った。

 微かに千紗の甘い香りが漂う千紗の部屋。

 やっぱり好きなんだな、と感じさせるほど、バカみたいに心臓が反応してる。

 こんな俺をほっといて実家に帰るなんて、ホント千紗って分かんない。

 分かんないよ、ホント。

 これからどうしたらいいのかも、学校でどう接すればいいのかも。

 一番分かんないのは、千紗が何を望んでいるか。

 紗葉の言ってたことを信じるとしたら何か引っ掛かるんだよなぁ。

 あの魚の小骨が刺さって、スッキリしないような、チクチクする感じ。

 それに、家が静かすぎる。

 包丁とまな板が垂直に当たる音や、コマチさんの鳴き声や首輪の鈴の音が聞こえないのは、なんだか。

 家にいるのにホームシックになった気分。


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