500年の復讐


「それでこの子なの?何かと思ったら子供が欲しくなったって一体何があったの?まぁ、私の手伝いをしてくれるならそれでいいわよ。ぜんぜん構わないわよ」
 赤毛でシックな紅いドレスに身を包んだミセス・ラベットは、私の全身をじとっと見て、彼に言った。
 彼は悲しそうに演技して、
「街で彼女を見つけたんです。娘にそっくりで、つい声をかけてしまって――――。そしたら孤児院の子供でこの不景気です。孤児院を出た子供の働ける場所なんてありませんよ。それで引き取ることに決めたんです」
「――――――そう。まぁ、子供の問題は時々新聞で見かけるから知ってるし、私も女だから分からないことはないわ」
 視線を私に向け、
「あなたはどうなの?大丈夫?新しいお父さんが出来るわけだけど」
「大丈夫です。昔田舎で両親を亡くして、小さい妹としばらく暮らしていたんですけど、病気で死にました。一人残された私は村を出て、今いる孤児院に引き取られました」
 これもとっさの嘘だ。彼は復讐のことをミセス・ラベットに言っていない。
 ミセス・ラベットは悲しそうに眉を下げ、私に抱き着いてきた。
「あぁ、可哀想な子!!親の愛情を知らないだなんて!大丈夫よ。何かあれば私に言いなさい。女なんだから」
 すると私から離れ、頭を撫でてきた。
 彼を見ると右目でウィンクをした。

 ミセス・ラベットは大丈夫だ。
 後は孤児院から出れば、私はやっと"復讐"を遂げられる。





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