愛しい遺書
†プロローグ†
あたしは明生を愛している。

出逢いは最悪だった。今でも鮮明に覚えている。なのに一目惚れだった。あたしの心が明生に吸い寄せられたのと同時に離れることを拒んだ。

だけど明生は姿形は人間だが、それを造る中身は野良猫のように冷たい男だった。自分に吸い付く女たちを一人残さず食らい、それを飼い馴らすこともなく、愛を囁く恥知らずがいれば悉く捨てる。

明生は誰にも属さない。

それを理解できる女ばかりが明生を取り囲み、寵愛を待つ。

あたしもその中の一人にすぎない。

それでも、もし、明生が愛という抑えきれない衝動を初めて持つ時が来たら、その相手はあたしであってほしい………。


言葉にすれば終わってしまう。

だから言えない。

明生の側にいたいから。

どんなカタチでも明生を感じられる

それだけで幸せなのだから。
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