ぶたねこ“ハッピー”の冒険

敵か味方か

バスを降りると足早に改札口へ向かった。
周りに気を張り巡らしてはみたものの、誰もかれも怪しく見えてしまう。
キオスクで携帯の簡易バッテリーを買って、電源を入れてみた。
留守電7件、メールも二けた届いてる。
矢野からのが殆どだろうと思っていたが、1件のみ。残り全部が未登録の知らないアドレスからだ。

誰からのメールだろ?

一番目に届いてる矢野のメールそっちのけで、知らないアドレスのメールから開いてみた。
件名無し、本文を見ると凍り付いた。
「バスヲオリテスグニデンシャニノルナ」次々とメールを開くと、
「ツケラレテイルカラヒトゴミヲヌケテゲキジョウヘハシレ」
「クロネコヲミツケタラアトヲツイテハシレ」
「フリカエルナ」

「チイサイトビラモタメラウナ」
などと、わけの判らない半角カナの短い文が続く。
今の自分へのメッセージなのか、いたずらにしては手が込んでる。

信じるべきか…
そう考えながらも、キップ売り場とは90度違う方へ歩き始めていた。
西口交番の前を抜けて、人ごみをよけながら目一杯走った。階段を駆け上がり、劇場の方へひらすら走った。ネコだ、黒ネコだ、確かにいる。
黒ネコは、まるで俺を待っていたかのように走り出した。
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