恋スル運命
私は、ユーリや、その他の屋敷で働く人達にまで心配をかけるほど
ムリしてたの?





「・・・いいの?本当の私は、男勝りなほどおてんばだし、笑うときだって大きな口あけちゃって下品なのに」






『外で見せなきゃ平気だろ。な?』




ユーリに同意を促すと、ユーリはブンブンと何度も首を縦に振った。





『サラ様の笑顔は下品なんかじゃありません!女性の私ですら見ほれるほど可憐なんですから!!』





握りこぶしを作って力説されて、嬉しさから泣きそうになって鼻先がツン、とした。







『みんなお前の本来の笑顔を待っているんだ。ーーありのままのお前を、な。俺もさっきみたいに笑ってるお前のほうが好きだ』






カイのその言葉に、胸が焼けるほど熱くなった。





だめ、泣いてしまいそう。





目を瞬かせて、どうにか涙をこらえて、大切なことを教えてくれた二人に、「ありがとう!!」と、めい一杯笑って言った。









ありのままの私が好きだといってくれたカイの言葉にいつまでも胸が熱くなっていたことに、このときはまだ気づきもしなかった。










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