恋スル運命
“いつか沙羅にきっと素敵な人が現れるわ”





そう言ったあの人の言葉が浮かんで来た。





“会ったら絶対にこの人!ってはっきりとわかるわよ。あなたには運命の人がちゃんといるんだから”




ーー運命って何?





“今度こそ沙羅を幸せにしてくれるからね”





ユーリおば様がいてくれたお陰で私ひとりぼっちにならなくて済んだんだよ?




今度こそ、なんてそんな悲しい言い方しないでよ。





はっきりとわかると言ったユーリおば様。






ーーねぇユーリおば様。
本当なの?
本当にちゃんとわかるのかな?




私まだそんな気持ちになれる人に出会えてないからわからないだけなのかな?





はっきりしないんだから、海偉への淡い気持ちを、まだ認めるわけにはいかない。





今日のは気の迷いだったのかも。





そう思いながら目の前の景色をロールカーテンを下ろして遮断した。



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