Advance
― 一年後 ―

「ドンペリ一本、入りましたーーー☆☆☆」
歌舞伎町は今日も賑わっていた。
眠らない街と歌われるがまさにその通りだといつも実感する。
「フッ・・・今日も売上は上々だな・・・秋人、ドンペリ持っていきな。」
「は、はい、マスター!?」
そうやって、マスターの支持でドンペリを持って早足で歩くのは僕、灰崎秋人だ。
僕はこのホストクラブ「RAINBOW」で暮らしている。
年齢は七歳・・・本当なら小学校に通わなくてはいけない年齢なのだが、ある理由で学校には行かずにこのホストクラブの裏方として働いている。

ガチャッ

「あ・・・これ、ドンペリ・・・」
「おお、悪いな。」
店内の入り口からヒョコッと顔を覗かすとそれに気付いたホストがドンペリを受け取る。
そのホストにお辞儀をした直後に僕はそそくさと店内を後にした。
「・・・あれ?ウチの店にあんな子供、居ましたっけ?」
「ああ、お前は入ったばかりだから知らねえっけ?あの子はマスターの子供だよ。」
「Σえええぇ!?あの男勝りなマスターの子供ぉ!!!」
「いや、本当の所、よくは知らないし、マスターはただのお手伝いだとは言っているが実の子供なんじゃないかってみんな噂してるぜ?現にマスターは二年前に離婚してるからな。」
「へぇー・・・意外だな・・・離婚はともかく、子持ちだったとは・・・」
「けど、絶対にマスターの前では離婚とか子持ちとか言う話はしない方がいいぜ。殺されるぞ?」

そんなホスト達の会話がここまで聞こえる・・・

この生まれつき授かった“力”のせいで―――

< 3 / 40 >

この作品をシェア

pagetop