マイワールド
裕也が話し終えると、
先生は黙ってレミからプリントを取り上げた。

「二ヶ月以上も前のプリントじゃない。

プリントの裏に書くなんて、
随分エコなのね。」

先生はにこりと笑った。


だが、私には次のセリフを考えているようにしか見えなかった。

「先生……。」

はるが泣きそうな顔で声を出した。


先生は微笑んだ。

「わかってる。

あなたがちゃんとこのプリントを捨てたってことぐらい。

彩音の根拠のない勘も、なんとなくわかる。」

「それじゃ、先生はやっぱりウチがやったっていうんですか?」

恵子は先生を睨み付けた。

「そうじゃない。

このことは、今後真実を明らかにするべきだと思う。

けど、今はこのプリントに書かれた内容の方が大事じゃない?」

先生の質問には誰も答えなかった。

「レミ。」

先生はレミと目を合わせた。


レミは無理矢理別の方向に視線を移した。

「人を利用するなんて、絶対にダメ。

もしあなたが彩音の立場だったら……考えてみなさい。

こんな風に利用されるなんて、
今までの人生が無意味のように思えてこない?」

先生のその言葉は、私の胸にぐさりと刺さった。


今この場では関係のないことかもしれないが、
今の私を、動物達に重ねることはできないだろうか。

『こんな風に利用されるなんて、今までの人生が無意味のように思えてこない?』――。
『人間の勝手で殺されるなんて、一生が無意味のように思えてこない?』――。

「そんなの、利用される方がバカなんだよ!

弱いからいけないんじゃん!」

レミは先生に言い返した。
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