身代わり姫
シエラがレオノーラについてきているのには、理由がありました。

一つは、レオノーラがグラディス王女としてやっていけるように、王女らしい振る舞いを仕込むこと。

もう一つは、グラディス王女としての知識がないレオノーラに、グラディス王女について教え込むことです。


レオノーラがビーワ国に行って、グラディス王女の身代わりだと知れたら、それこそ戦になってしまいます。

国王を始め、大臣たちもそれを心配して、シエラを同行させたのです。


「私は国王様の命により、あなたを指導しなくてはなりません。王女として恥ずかしくないよう、しっかりと学んで下さいまし」


レオノーラはか細い声で、はい、と答えました。

ふん、こんな娘がグラディス王女の代わりだなんて、馬鹿にしているわ。
下品な色の髪だし、なまっちょろい顔つきのあばずれ女じゃないか。
変な香りをぷんぷんさせて、気分が悪いったらありゃしない。


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