身代わり姫
胸元の水晶から、リュイが飛び出しました。


「ふー! 疲れたぁー。
レオノーラ、とりあえずは第一関門突破だな」


「ええ、何とかね」


ずっと水晶に隠れていたリュイの口に、レオノーラはレモンキャンディを一つ、放り込みました。
リュイはもごもごと口を動かしながらも、真剣な声で言いました。

「でも、これからだよ。結婚式をあげて、グラディス王女として生きて行かなきゃいけないんだ」


レオノーラの顔が曇ります。
そう、これからレオノーラはずうっと、グラディス王女として生きていかなければならないのです。
レオノーラという人間として生きていけないのです。

それは、考えれば考えるほど、辛く苦しいことでした。


「レオノーラ、オレは君にそんな顔をさせる為に、言ったわけじゃないんだ。
オレはレオノーラを助けたいんだ。ねえ、オレに任せてくれないかい? ここからきっと逃がしてあげるから」


「リュイ……」


レオノーラはリュイの小さな体を抱き締めました。


「ダメよ。私は逃げたりしてはいけないの。こんな事になったのはあたしのせい。逃げたらダメなのよ」


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