身代わり姫
コンコン、とノックの音がし、レオノーラが返事をする前に扉が開かれました。
リュイが素早く水晶に戻りました。


入ってきたのはシエラで、部屋をきょろりと見渡して、訝しそうに言いました。


「今、誰かとお話してませんでしたか?」


「いいえ、独り言です。あまりに素晴らしいお部屋なもので、驚いてしまったの」


シエラはふん、と唇の端で笑って言いました。


「このような品のない質素な部屋をあてがうなんて、ビーワ国も馬鹿にしたものだと思ってましたけど、あなた様には勿体無いくらいですわね」


レオノーラはうつむきました。
マチホ国を出てから1ヶ月もの間、このシエラと生活を共にしたのですが、シエラとは仲良くなれませんでした。
それどころか、シエラは日増しに冷たく厳しくなり、レオノーラはシエラが怖くてたまりませんでした。


シエラは私の事を憎んで当然なのだわ。グラディス王女になり変わってる私を、好きになれるはずないもの。


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