身代わり姫
『妖精の涙……。
ああ、あの娘がもらった石のこと?
あんなもの、捨ててしまったわ。そんな事より、早く助けてちょうだい』


窓を開けて空気を入れ替えていたリュアネスは、それを聞いて舌打ちしました。


「どこへ捨てた?」


『さあ? その庭の、池の中に沈んでるんではないかしら?』


グラディス王女のベッドの端から、ぼとりぼとりと蛇や蜘蛛が落ちました。
ごぽりという音がする度に、口から吐き出されているようです。

レオノーラに蛇が飛びかからないように気をつけながら、リュアネスは言いました。


「その宝石がないと、あんたの呪いはとけないぜ。拾ってくるんだな」


『何ですって? お父様、召使いに言って、拾わせて来てちょうだい。早く』


「何言ってる。あんたが行きな」


リュアネスが冷たく言い放ちました。


「自分でやった尻拭いだろう。自分で池に入って、拾ってこい」


ベッドから、グラディス王女の悲鳴にも似た声が響きました。


『何で王女である私が? 召使いにさせて何が悪いの。魔術使い如きが偉そうに指図しないでちょうだい!』


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