身代わり姫
グラディス王女は怒りが増して、その怒りで燃えてしまいそうでした。

妖精から美しさの代わりに声を奪われると言えば、誰も妖精に出会いたいなんて思わない。
この非道な娘は、自分以外の女の子が美しくなるのが嫌だから、そんな嘘をついたんだわ。


許せない。許せない。


グラディス王女はナイフを持つ手がぶるぶると震えるのが分かりました。
その震えは、これから人を殺すという恐怖ではなく、ただ嘘をついた卑怯な娘に対する腹立ちの為です。


「王女様、落ち着いて下さいませ! 話を聞いて下さいませ!」


グラディス王女がナイフをゆっくりと持ち上げたのを見て、レオノーラは後ずさりしました。

私が嘘をついた事を王女様はお怒りだわ。そうよね、自分の身を守る為だといっても、国王様までも騙してしまったのですもの。

レオノーラは自分のついた嘘の重さに泣きそうになりながら、王女のナイフから逃げようとしました。


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