緋色の奇跡
「なぁ、柊さんって何者??」


足を怪我してあまり作業に参加できない沙良についていた泉が、忙しく動き回る瑞杞と凌の姿を見て呟いた


「瑞杞はね、両親がお医者様なの」


泉の質問に静かに沙良は答えていく


「それは一応知ってるけど……」

「小さい頃から、瑞杞が絵本がわりに呼んでいたのはね、医療書なのよ」

「は!?」


沙良の言葉に、思わず声を上げてしまう泉


「読んでたって、小さい頃に医学書を!?」

「まぁ、正確には聴いていた?」

「聴いていた?」

「医療書を読んでいたって言っても、書いてある事は難しいでしょ?読んでくれていたのよ、瑞杞のお姉さん、達杞さんが」


すこし切なそうに微笑みながら、沙良は泉に言葉を紡いでいく


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